Nature ハイライト
Cover Story:「緑のサハラ」での酪農を調べる:アフリカでの最初の乳製品使用は紀元前5千年紀頃であることが、陶器に残った残渣の年代測定から明らかになった
Nature 486, 7403
表紙の岩絵は、家畜化したウシを描いた8000〜5000年前のもので、リビアサハラのタドラット・アカクス山地にあるWadi Imhaで発見された。搾乳の風景を含むものまであるこうした絵は、この地域に広く見られ、完新世の「緑のサハラ」で暮らしていた古代人の生活でウシが重要な役割を果たしていたことを示唆している。だが、岩絵の年代測定が困難であることは、広く知られている。今回J Dunneたちは、ローマ大学サピエンツァ校の考古学調査隊がリビアサハラのTakarkori岩石壕で発掘した陶器に吸収されていた食物残渣の同位体分析の結果を用いて、紀元前5千年紀という先史時代のアフリカの考古学的記録の中で酪農を示す最古の明確な化学的証拠を発見したことを報告している。この知見は、家畜化したウシや酪農経済が、古代サハラの牧畜中心の生活に存在していたことを裏付けている。(Letter p.390)
2012年6月21日号の Nature ハイライト
物理:二重魔法核を持つスズのベータ崩壊
医学:乳がんに見られる遺伝子パターン
医学:アロマターゼ阻害剤に対する乳がんの反応性
薬学:薬物毒性の予測
宇宙:金属の少ない恒星を巡る太陽系外惑星
物性:鉄ニクタイドにおける多重転移
遺伝:DNAを脱メチル化から保護する
医学:H5N1ウイルスの伝播にかかわる因子