Nature ハイライト 構造生物学:プリオンの構造と機能に関する新しい知見 2005年6月9日 Nature 435, 7043 タンパク質はときおり、きちんと折りたたまれた構造からアミロイド原繊維と呼ばれる糸のような凝集体に変化することがある。このアミロイド原繊維は、アルツハイマー病や2型糖尿病に関係し、狂牛病やヒトのクロイツフェルト-ヤコブ病の原因となるプリオンと呼ばれる伝達性因子にも関係する。 熱心に研究が行われているにもかかわらず、アミロイドの形成と構造については、まだよく解明されていない。だが今回、独立して行われた3つの研究で、さまざまなプリオンの詳細な構造が明らかになり、この自己増殖性をもつ感染性タンパク質の生物学的特徴の一部が解明された。 D Eisenbergたちは、酵母のプリオンSup35のごく一部分を結晶化し、一対のシート状の構造がファスナーのようにきちんと組み合わさって核を構成していることを明らかにした。R KrishnanとS Lindquistはさまざまな技術を用いて、原繊維形成の初期段階を解明し、この原繊維の構造が酵母プリオンの特定の生物学的特徴とどのように関係するかを明らかにした。またR Riekたちは、菌類のプリオンの感染性にタンパク質の特殊な折りたたみがきわめて重要であることを明らかにした。 2005年6月9日号の Nature ハイライト 医学:マイクロRNAは癌に重要な役割を果たす 構造生物学:プリオンの構造と機能に関する新しい知見 宇宙:メタンを放出するタイタンの火山 エネルギー:自分で暖まる燃料電池 植物:草の根を分けて探したストリゴラクトンの役割 : 目次へ戻る