Nature ハイライト 宇宙:メタンを放出するタイタンの火山 2005年6月9日 Nature 435, 7043 土星の衛星でもやに覆われたタイタンには、巨大火山が存在して大気中にメタンを放出している可能性があるようだ。C Sotinたちは、2004年10月26日に土星探査機カッシーニがタイタン上空を通過した際に収集した赤外観測データを使って、大きさ30キロメートルのドームの存在を確認した。このドームはおそらく、氷に富んだ物質のプリュームがメタンガスを大気中に放出する前、地表に湧き上がってできたものだろう。 こうした噴出は、タイタン内部の物質が潮汐力によって動く間に発生した熱で起きている可能性がある。内部の物質は、タイタンが土星を回る楕円軌道上を運動するにつれて移動する。 クレーターが存在する証拠は見つかっていないので、タイタン表面がこれらの極低温の火山噴火によって頻繁に一新され、非常に若い状態のままであることが示唆される。以前、液体の炭化水素の海がタイタンを覆っている可能性が考えられたことがあるが、画像からは広範囲にわたるメタンの海は存在しないことがわかった。 「タイタン表面の明るい領域や暗い領域が結局どんな物質からできているかはさておき、カッシーニのおかげで、氷に富む衛星の探査は新時代に突入した。タイタンへの接近通過は今後さらに40回計画されており、土星の他の衛星への探査も行われる予定で、このすばらしい旅路はやっと始まったばかりだ」と、L Prockter がNews and Viewsで語っている。 2005年6月9日号の Nature ハイライト 医学:マイクロRNAは癌に重要な役割を果たす 構造生物学:プリオンの構造と機能に関する新しい知見 宇宙:メタンを放出するタイタンの火山 エネルギー:自分で暖まる燃料電池 植物:草の根を分けて探したストリゴラクトンの役割 : 目次へ戻る