Nature ハイライト 心理:一晩寝てから考えよう 2004年1月22日 Nature 427, 6972 布団から抜け出すのが辛い人たちに耳よりの話が届いた。睡眠によって創造的な思考が刺激されるらしいのである。誰しも身に覚えがないだろうか。難解に思える問題が解けないまま一晩寝ると、翌朝になってその解決策がひょっこり頭に浮かぶなんてことが。こうした話はよく耳にするが、あくまで経験談の範囲にとどまっている。今回、J Bornたちはこの現象が科学的な精査に耐えるものかどうかを調べるためのある実験を考え出した。まず被験者には、数字が8個並んだ数列を簡単な2つのルールにのっとって新しい並び順に変換していく手順を教える。ただし、被験者たちには教えていない第3のルールがあり、うまく隠れたルールを見つけ出すと課題の遂行速度を大きく上げることになる。最初の訓練のあと、被験者は睡眠をとるか、強制的に起きたままにさせられた。すると睡眠がすばらしい効果をあげた。8時間眠ることを許された被験者は、起きたままだった被験者に比べて、隠れたルールを見つけ出す確率が2倍以上になったのだ。「睡眠がヒトの創造力に果たす役割は当面、謎に包まれたままだろう」とP MaquetとP RubyはNews and Viewsで述べつつ、むやみに睡眠時間を削るような現在の風潮を考えると今回の研究は睡眠をおろそかにしないための格好の理由づけになる、と言い添えている。 2004年1月22日号の Nature ハイライト 動物:ニワトリにも福祉を 心理:一晩寝てから考えよう 遺伝:果物のY染色体に興味しんしん 宇宙:宇宙の距離標識の再検討 地球化学:黒色炭素の出自 地球:地球中心への旅 目次へ戻る