Nature ハイライト
植物育種:温暖化する世界のためのイネ品種
Nature 523, 7562

Credit: Chuanxin Sun and Anna Schnürer
強力な温室効果ガスであるメタンの全球排出量の7〜17%は水田に由来し、この数字は、食糧需要の高まりに応えて稲作が拡大するにつれて大きくなる可能性が高い。今回、種子や茎のバイオマスおよびデンプン含量は増加していながら、メタン放出量や根圏のメタン生成菌レベルは低下しているという、新たなイネ品種が開発された。この新しいイネ系統は、オオムギの転写因子SUSIBA2をコードする単一遺伝子を従来のイネ栽培品種に導入することで作出された。SUSIBA2は、光合成産物を根よりも地上部バイオマスに多く分配するような炭素フラックスの変化をもたらす。「高デンプン・低メタン放出」のイネは、温暖化する気候下で、高品質のバイオマスを提供しつつ、大気中への温室効果ガスの放出に稲作が及ぼす負の影響を低減するための、持続可能な手段の1つを示している。
2015年7月30日号の Nature ハイライト
地球化学:火山噴火と気候のつながりの再較正
微生物学:微生物バイオフィルム内の持ちつ持たれつの関係
構造生物学:VI型分泌系の構造
構造生物学:アレスチンのGPCRへの結合
量子物理学:バルク固体における高次高調波放射
高分子化学:高温誘電体としてのポリマーナノ複合材料
古生物学:カメの進化の複雑さ
幹細胞:幹細胞のバランスを維持する
植物育種:温暖化する世界のためのイネ品種
視覚障害:ラノステロールで白内障形成を妨げる