Nature ハイライト
Cover Story:アジアのヒト属:フィリピンで発見された新たなヒト族
Nature 568, 7751
表紙は、新たに発見され「ホモ・ルゾネンシス(Homo luzonensis)」と名付けられたヒト族種の2本の大臼歯である。今回F Détroit、 A Mijares、 P Piperたちは、5万年以上前にフィリピンのルソン島に住んでいたこのヒト属(Homo)の、少なくとも3個体に属する歯、足と手の骨、大腿骨の一部からなる12点の標本をカラオ洞窟で発掘した。これらの骨は、2007年にこの洞窟で発見され年代が6万7000年前と推定された1点の足の骨に加わるもので、これらの新たな標本によって新種の正式な記載が可能になった。インドネシアのフローレス島で発見された小型のヒト族フローレス原人(Homo floresiensis)と並んで、今回のホモ・ルゾネンシスの発見は、ヒト属の進化における東南アジアの島嶼個体群の重要性を浮き彫りにしている。これら2種には違いがあるものの、両者の状況は類似していた可能性があり、共に、それ以前のヒト族が離島に隔離されて独自の進化の道筋をたどった残存個体群であると考えられる。
2019年4月11日号の Nature ハイライト
神経科学:CD22の阻害は加齢脳でミクログリア機能を改善する
分子生物学:分解に依存したロバスト性
天文学:連星中性子星合体の印かもしれないX線トランジェント
光物理学:真空のゆらぎ
社会科学:道徳を説く神と複雑な社会
神経科学:睡眠の起源
植物科学:オーキシンシグナル伝達の新たな層
ウイルス学:HIV-1感染が寛解した第2の症例
免疫学:SIXファミリーのタンパク質は、炎症とアポトーシスで非カノニカルNF-κB経路の活性化を抑制する