Nature ハイライト
社会科学:道徳を説く神と複雑な社会
Nature 568, 7751
人々はなぜ協力し、社会規範に従うのか。小規模な社会では評判のコストだけで十分説明できそうだが、大規模で複雑な社会では、不正をする人が匿名性を隠れみのにして道徳的な罪を犯す可能性がある。複雑な社会の発展に関する1つの有力な仮説に、全てを見通す神が道徳律に従わせるための手段をもたらす、というものがある。今回P Savage(慶應義塾大学ほか)たちは、過去1万年にわたる世界各地の数百の社会の特徴を含む大規模な歴史的データセットで、社会的複雑性と超自然的な存在の信仰の時間的進化を調べることにより、この仮説を検証した。その結果、社会発展の初期には形式的な宗教的儀式が見られるが、道徳を説く神は、大規模社会が出現した後の遅い時期に現れる傾向があることが明らかになった。著者たちは、道徳を説く神は大規模で複雑な社会の誕生における主な要素ではなく、そうした社会がその後安定化して成長する上で役割を果たす可能性があると結論付けている。
2019年4月11日号の Nature ハイライト
神経科学:CD22の阻害は加齢脳でミクログリア機能を改善する
分子生物学:分解に依存したロバスト性
天文学:連星中性子星合体の印かもしれないX線トランジェント
光物理学:真空のゆらぎ
社会科学:道徳を説く神と複雑な社会
神経科学:睡眠の起源
植物科学:オーキシンシグナル伝達の新たな層
ウイルス学:HIV-1感染が寛解した第2の症例
免疫学:SIXファミリーのタンパク質は、炎症とアポトーシスで非カノニカルNF-κB経路の活性化を抑制する