Nature ハイライト

物理:核の魔法

Nature 465, 7297

原子核には殻構造があり、中性子数と陽子数には原子物理学における希ガスの場合に類似した「魔法数」が存在可能である。特異核の閉殻の外にある一粒子状態の性質を知ることは、核構造や核合成の基本的理解にとって重要である。Jones たちは、核子移行の技法を用いて、中性子1 個を短寿命のスズの同位元素132Sn に加えて、より短寿命の133Sn を作ることにより、132Sn 閉殻の「二重魔法性」を確認した。加えた中性子がとれる量子状態のスペクトルの測定から、133Sn 核の特性はほぼ完全にこの単一の中性子によって決定されることが示された。今回の新知見によって、殻模型の有効性が中性子に富む原子核にまで拡張され、超新星での中性子捕獲反応に関与する核などの、安定からさらに遠く離れた核の性質を予測する基準が得られる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度