Nature ハイライト 病理:血塊を捕らえて流す 2010年5月27日 Nature 465, 7297 脳の血管では、一生を通じて、小さな血液凝塊や微小塞栓が発生しており、その多くは血流によって取り除かれたり、繊維素溶解系によって分解されたりする。今回、塞栓血管外漏出という3番目の塞栓除去機序が見つかった。高解像度での固定組織顕微鏡観察と生きているマウスの二光子画像化法による観察から、多くの微小塞栓が内皮細胞に包み込まれて1週間以内に能動的に除去され、同時にその下の内皮が変形して閉塞物のない血管を作り出すことがわかった。年を取ったマウスのほうがこの過程に長い時間がかかることから、脳卒中からの回復途上にある患者あるいは加齢による認知障害で、血塊除去は治療標的の1つとなるかもしれない。 2010年5月27日号の Nature ハイライト 宇宙:レーダーで見た火星 物理:核の魔法 物性:モーメントを分ける 進化:ヨーロッパにもいた角竜類恐竜 遺伝:肺がんの変異 病理:血塊を捕らえて流す 進化:イカに似たネクトカリス 目次へ戻る