2017年5月号Volume 14 Number 5
ホットでクールな太陽熱冷房
暑い夏に欠かせない冷房。その需要は高まっていて、冷房用の電力需要も2100年までに2000年の30倍以上になると予想されている。そうした状況を受け、暑さの原因である「太陽熱」を利用した空調システムに注目が集まっている。価格がネックとなり普及には至っていないが、技術革新や部品が安価に作れるようになったことで、潮目が変わりつつあるのだ。
Editorial
News in Japan
News
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恐竜系統樹の枝ぶりが変わる?
74の分類群に属する多様な恐竜について、骨の解剖学的特徴を細かく調べた研究から、主要な系統群の間に新たな類縁関係が浮かび上がった。恐竜の分類に関する長年の定説を根本から覆す今回の新説で、「教科書の書き換え」が必要になるかもしれない。
ハチは仲間のプレーでサッカーを覚える
ハチは、本来の仕事とは無関係の作業であっても高度な学習能力を示し、教わったことを改善することさえできる。
HIVの潜伏性リザーバーのマーカーが初めて明らかに
HIVが潜伏感染している免疫細胞(潜伏性リザーバー)の特定に役立つマーカータンパク質CD32aが発見された。細胞表面に発現しているこのタンパク質を用いることで、こうしたリザーバーを排除できるようになるかもしれない。
トリアンギュレンの合成に成功
走査型プローブ顕微鏡の探針を使った原子操作によって、不安定な炭化水素「トリアンギュレン」が合成された。
南極大陸の棚氷に巨大亀裂
南極大陸の4番目に大きな棚氷「ラルセンC」に、長さ175kmの亀裂が発生している。近く、東京都の2倍を超える面積の氷山を分離しそうだ。
細胞単位で参照できる体の地図作りが熱い!
最先端の画像化法と分子生物学を融合して、がんやヒト組織の単一細胞ごとの地図を作成する競争が加速している。
CRISPRの特許争いにひと区切り
米国特許商標庁はゲノム編集技術の特許をめぐる争いで、ブロード研究所に軍配を上げた。
News Feature
ホットでクールな太陽熱冷房
大量のエネルギーを消費するエアコン。この需要が高まっている今、一部の人々は、暑さの原因である太陽熱に問題解決のカギがあると考えている。
Comment
チャーチルの地球外生命論
英国の偉大な政治家ウィンストン・チャーチルが地球外生命の存在の可能性について科学者顔負けの考察を繰り広げるエッセイが発見された。
Japanese Author
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月に届く地球の風
地球に一番近く、空を見上げればそこにある月。このなじみ深い天体を日本の探査機「かぐや」が調査したことは、よく知られている。このほど、地球の高層大気圏から流失したO+イオンが月にまで届いていることが、大阪大学・名古屋大学・JAXA(宇宙航空研究開発機構)の共同研究により突き止められ、 2017年創刊のNature Astronomy 2月号に発表された。検出されたO+は高いエネルギーを持ち、月表面の数十nmまで貫入することができる。このことは、太古から現在に至るまで、月が常に地球由来の物質にさらされてきたことを明らかにした初めての成果である。研究の中心となった、大阪大学大学院理学研究科の寺田健太郎さんとJAXA宇宙科学研究所の横田勝一郎さんにお話を伺った。
News & Views
AIによるがん診断支援が現実味を帯びてきた
皮膚がんを画像解析だけで判定できるようコンピューターを訓練したところ、一部の皮膚がんについては皮膚がん専門医と同程度の精度で識別できた。これは医学的診断の未来にどのような意味を持つのだろうか?
異種動物の体内で作製された膵臓で糖尿病を治療する
ラットの体内で成長させたマウスの膵臓を、1型糖尿病モデルマウスに移植すると、血糖値が制御された。また、拒絶反応は短期間の免疫抑制剤投与だけで回避できた。この成果から、治療用に臓器を成長させる興味深い方法が垣間見えてきた。
News Scan
アヒル目隠し実験
ヒナ鳥の刷り込みは左右の目で別々
空気清浄網戸
ナノファイバーをコーティングして粒子状物質の90%を除去