2010年6月号Volume 7 Number 6

深圳シーケンス工場

かつて北京ゲノミクス研究所とよばれた「深圳BGI」 の活躍がめざましい。 インディカ米、カイコガの全ゲノム解析に続いて、初のアジア人、パンダ、古代グリーンランド人と、まさに世界のゲノム解析をリードする。その秘密はどこにあるのか?研究所というより「工場」を思わせる新しい研究の進め方は、さまざまな問いを投げかける。

Editorials

現在ある世界の大学格付けランキングには問題点が多く、それ自体の改善が必要だ。大学関係者は高順位を狙うべく努力しているが、格付け結果をより賢明に解釈する必要がある。

Natureにオンラインコメント投稿機能が導入された。本誌掲載のすべての記事と論文について、ウェブ上で議論をする道が開かれた。Nature読者にふさわしい質の高い対話を期待する。

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News

英国工学・物理科学研究会議(EPSRC)の新しい厳罰主義が注目されている。過去2年間、申請書3件が評価ランキングの下位半分に入り、かつ全申請数の合格率が25%以下の研究者は、ブラックリストに載せられ、1年間、たった1件しか助成申請を出せなくなった。

第四のニュートリノである無感(ステライル)ニュートリノが本当に存在するなら、天体物理学の最も深刻な問題のいくつかに、解決の糸口を与えるはずだ。

実験動物の多くは「不健康な生活」を送っている。しかし、その事実はあまり認識されていない。このため、実験で得られた結果を誤って解釈してしまう可能性があり、ひいては治療薬の開発に当たって方向性を見誤るおそれがある。

慢性的な痛みに悩まされる患者の典型は55歳の女性とされるが、慢性疼痛の研究で使われる実験動物は、生後8週目の雄のマウスである。この性別の違いは、カナダのマギル大学(モントリオール)で疼痛を研究するJeffreyMogilによれば、「生物医学研究では、雌の実験動物や女性被験者が圧倒的に少ない」という問題を明示しているという。

壮大な研究プロジェクトを提案する生物学者は、リスクに寛容なヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)に資金を頼ることが多い。創設20年のHFSPは、世界で唯一の国際研究資金提供機関であり、毎年総額約6000万ドル(約54億円)の助成を行い、生体機構の研究を支えてきた。

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News Features

世界最大規模の共同実験LHC(大型ハドロン衝突型加速器)に従事する物理学者たちは、社会科学者にとって、極めて興味深い研究対象だ。ここに滞在して1万人の物理学者を観察している彼らは、何を見たのだろう。

大規模シーケンス施設BGIが推進する野心的なプログラムにより、中国はゲノム塩基配列解読で世界のリーダーとなるかもしれない。こうしたやり方が、産業的拡大の時代に通用するのかどうか、検証する。

DNA鑑定は科学捜査における究極の判定材料だと考えられている。しかし、犯罪現場に残された極めて微量のDNAを同定することに対して、疑問が投げかけられている。DNA鑑定はどこまで信頼性があるのだろうか。

たった1個の指紋が、人を刑務所送りにすることがある。しかし、今日の指紋鑑定法には、鑑定の際に先入観を排除する仕組みがほとんどないのだ。

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Japanese Author

反応中間体は存在時間が短く、直接観察されることは少ない。ところが今回、有機化学の最も基本的な反応であるアミンとアルデヒドの反応において、その反応中間体が、X線結晶構造解析できちんと観測された。カギとなったのが「結晶フラスコ」という新しい手法。溶液反応を固体として観測する「新しい化学」が誕生した。

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News & Views

有機物質としては10年ぶりに、新しい高温超伝導体を岡山大学の久保園芳博教授のグループ(筆頭著者:三橋了爾)が発見した。これはピセンという炭化水素(芳香族の5環式縮合環炭化水素)で、特に珍しい物質ではない。今回の予想外の発見は、新たな超伝導研究の展開を予感させる。

蚊は匂い物質受容体により、人間を見つけて血を吸い、結果的にマラリアの媒介に加担している。こうした受容体と結合する匂い物質が発見されれば、蚊に刺されにくくする方法が見つかるかもしれない。

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英語でNature

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