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孤児受容体の養子縁組

Nature Chemical Biology

2008年8月11日

Adopting an orphan receptor

Nature Chemical Biology

血中グルコース量調節および細胞死に関係する「孤児」受容体が、ある小分子に応答していることが、Nature Chemical Biology(電子版)に発表される論文で明らかになった。この発見は、受容体機能の研究に利用可能な化合物を明らかにするとともに、医薬品開発研究のインスピレーションにもなるものである。

Nur77という受容体は、小分子結合部位をもちながら、結合相手の分子が同定されておらず、「孤児」タンパク質となっていた。しかし、それにもかかわらずこのタンパク質は活性をもっており、結合相手の小分子に全く影響されないのであろうと結論づけられていた。そのため、単離細胞およびマウスでNur77に結合して正常な活性を促進するシトスポロンB(cytosporone B)という化合物がQ Wuたちによって同定されたのは、意外なことであった。

Nur77が発現に影響する遺伝子は多数あり、その中には血中グルコース量に影響するものもあれば、細胞死をもたらすものもある。シトスポロンBがNur77に結合すると、血中グルコース量が上昇し、長期的にはアポトーシス(細胞死の一形態)が生じた。これにより、この新たな化合物は、こうした複雑な細胞過程の理解に役立つと考えられ、医薬品開発研究のインスピレーションとなる可能性もある。

doi: 10.1038/nchembio.106

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