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化学: 永遠の化学物質の分解

Nature

2025年3月27日

Chemistry: Breaking down forever chemicals

Nature

「永遠の化学物質(forever chemicals)」として知られる環境汚染物質であるポリフルオロアルキル化合物およびペルフルオロアルキル化合物(PFASs:poly- and perfluoroalkyl substances)を分解し、その物質に含まれるフッ化物をリサイクルしながら行う方法を報告する論文が、Nature に掲載される。このプロセスは、フッ素を回収して製造に再利用しながら環境汚染に対処するのに役立つかもしれない。

PFASsは、1940年代以降、繊維、消火活動、調理器具、および医療用途に頻繁に使用されてきた人工化学物質である。これらの化学物質は分解が難しく、環境中に蓄積されているため、永遠の化学物質と呼ばれている。PFASsを分解する方法はいくつか存在するが、通常はより小さなPFASsや揮発性のフッ素含有化合物が生成され、失われてしまう。PFASからフッ化物を回収できれば、この元素を重要な鉱物から確保するというギャップを埋めるのに役立つかもしれない。

Véronique Gouverneurらは、リン酸カリウム塩を使用してPFASsをフッ化物化合物に分解する方法を提示している。著者らは、テフロン(Teflon;一般的なPFAS)とこれらの塩をスチール製の瓶に入れて、1秒間に35サイクルの頻度で3時間混合物を振ると、PFASが分解されることを発見した。さらに試験を重ねた結果、著者らは、これらの反応が消費者向け製品に使用されるさまざまな種類のPFASを分解できることを確認した。このプロセスで使用されたリン酸塩は回収され、その後の反応で再利用することができる。

著者らは、このPFAS分解法が環境問題の解決に役立つ可能性があること、また、フッ素不足に苦戦する特定の製造業分野におけるギャップを埋めることにつながり、さらに循環型経済にも貢献できることを指摘している。

Yang, L., Chen, Z., Goult, C.A. et al. Phosphate-enabled mechanochemical PFAS destruction for fluoride reuse. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-08698-5
 

doi: 10.1038/s41586-025-08698-5

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