注目の論文

【微生物学】結核治療のための投薬計画の改善

Nature Communications

2017年1月25日

Microbiology: Improving tuberculosis therapies

Nature Communications

結核のマウスモデルを使った研究で、投与する抗生物質の組み合わせと用量を最適化することで治療期間が大きく短縮されることが明らかになった。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。

現在の抗生物質による結核の治療では、6~8カ月にわたって4種類の抗生物質を服用するのが通例だ。この投薬計画は、有害な副作用を伴うことが多く、この治療を完了できない患者も多い。今回、Marcus Horwitzの研究チームは、結核に感染したマウスを使って、数多くの抗生物質の組み合わせと用量の候補の一部を試験し、数理モデルを用いて試験結果を解析して最も有効な薬剤と用量の組み合わせを予測した。その結果、Horwitzたちは、標準的な治療法より迅速に結核菌を死滅させ、無再発治癒までの治療期間を最大75%短縮できる2つの有望な投薬計画を明らかにした。

Horwitzたちは、過去に結核感染のin vitroモデルを用いて同じような方法で研究を行っており、その際にはマウスではなく、培養したマクロファージが用いられた。これに対して、今回の研究は、薬剤と用量の組み合わせの安全性と有効性を生きた動物で検証した点が重要だ。この新知見をヒトに役立てられるかどうかを見極めるには、さらなる研究が必要とされる。

doi: 10.1038/ncomms14183

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度