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【微生物学】女性生殖管のマイクロバイオーム

Nature Communications

2017年10月18日

Microbiology: The microbiome of the female reproductive tract

Nature Communications

女性の膣からファロピウス管(輸卵管)に至る生殖管で、独特な微生物群集が内壁に沿って定着していることを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、ヒト胎児が無菌環境で発生・発育するという従来の学説に疑問を投げかけている。また、今回の研究は、この微生物群集のバリエーションが一部の子宮関連疾患と相関しており、特定の疾患のバイオマーカーとなる可能性を示している。

女性の膣には数多くの微生物が定着していることが知られているが、感染症を発症していない女性の上部生殖管に特定の微生物叢が存在しているかどうかは明らかになっていなかった。今回、Huijue Jiaたちの研究グループは、生殖年齢の中国人女性110人の生殖管の内壁沿いに存在している微生物の解析を行った。Jiaたちは、膣の下部3分の1の領域、後膣円蓋、子宮頚管粘液、子宮内膜、ファロピウス管、ダグラス窩の腹水の合計6部位で検体を収集した。

Jiaたちは、下部生殖管(膣と膣円蓋)には主に乳酸菌が生息していることを発見した。この結果は、過去の研究報告とも一致している。上部生殖管では乳酸菌が次第に少なくなり、代わりに緑膿菌など他の細菌が生息していた。また、Jiaたちは、上部生殖管で採取した細菌を培養し、この部位における生きた細菌の存在を実証した。さらに、Jiaたちは、微生物叢のバリエーションが月経周期の各期だけでなく、子宮筋腫と子宮腺筋症、子宮内膜症を原因とする不妊症などの疾患とも相関していることを明らかにした。

今回の研究によって得られた知見は、女性の上部生殖管に生きた細菌が存在しているという考えを裏付けており、そのうえ、子宮頚管粘膜の微生物叢の解析によって子宮と腹腔の健康状態を調べることが可能だと考えられることを示している。子宮頚部の微生物叢解析を膣-子宮疾患のバイオマーカーとして用いる可能性を検証するためには、今回より大型の前向きコホートを使った研究が必要になると考えられる。

doi: 10.1038/s41467-017-00901-0

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