注目の論文

【気候科学】北米の都市部の2080年の気候予測に現時点でそれぞれ最も近い地点

Nature Communications

2019年2月13日

Climate science: Contemporary climate comparisons for North American cities in 2080

Nature Communications

北米の都市部540カ所について、予測される2080年の気候と現時点で最も類似した気候を示す地点を特定する分析結果について報告する論文が、今週掲載される。例えば、温室効果ガス排出量が2040年頃にピークに達するというシナリオに従えば、2080年のワシントンDCの気候は現在のアーカンソー州パラグールドに最も近いという。また、今回の研究では、ユーザーがそれぞれの都市部の分析結果を調べるためのウェブ・アプリケーションも紹介されている。

今回、Matthew FitzpatrickとRobert Dunnは、気候アナログマッピング(特定の地点の予測される将来の気候を別の地点の現時点の類似した気候と結び付けて表示する)を用いて、2080年に北米に居住する約2億5000万人の生活に対する気候変動の影響可能性を明らかにした。この研究では、2つの温室効果ガス排出量軌跡(21世紀を通じて増加し続ける軌跡と、2040年頃にピークに達してから減少する軌跡)を用いて、540カ所の都市部(米国530カ所、カナダ10カ所)の気候アナログマッピングが行われた。

その結果、21世紀を通じて排出量が増加し続けるシナリオに従った場合には、2080年の北米の都市部の気候が、概して南に平均850キロメートル離れた地点の現在の気候にかなり類似していることが判明した。しかし、多くの都市部では、将来的な気候予測と現時点で最も類似した気候との間にかなり大きな差があった。このことは、2080年代には北米の多くの都市で、現代に前例のない新しい気候を経験する可能性を示唆している。著者たちは、この知見によって、気候変動が都市部の住民に及ぼす影響に関する国民の意識を高めるための直感的な方法が得られることを期待している。

doi: 10.1038/s41467-019-08540-3

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度