【公衆衛生】ロタウイルスワクチン接種が1型糖尿病のリスク低下と関連
Scientific Reports
2019年6月14日
Public health: Rotavirus vaccination associated with lower risk of type-1 diabetes in infants
乳児を対象とした研究で、下痢や体調不良の一般的な原因の1つであるロタウイルスに対するワクチンの定期接種が1型糖尿病のリスク低下と関連しているという見解を示す論文が、今週掲載される。
今回、Mary Rogersたちの研究グループは、民間の医療保険会社から入手した非特定化データを用いて、2001~2017年に米国で生まれた乳児147万4535人のコホートを調べた。その結果、ロタウイルスワクチンの接種を完了した(必要な用量のワクチンを接種された)小児は、ワクチン接種を受けていない小児より1型糖尿病のリスクが低いことが明らかになった。2006~2017年に生まれ、ワクチン接種を受けた小児54万317人のうち、糖尿病を発症したのは192人だった(年間10万人当たり12.2人に相当)。これに対し、同時期に生まれ、ワクチン接種を受けていない乳児24万6600人のうち糖尿病を発症したのは166人だった(年間10万人当たり20.6人に相当)。ワクチンの部分接種(接種回数が1~2回不足している場合)は、糖尿病の罹患率との関連が認められなかった。
2006~2017年の間には、2種類のロタウイルスワクチン(5種類のロタウイルスに対する防御をもたらす五価ワクチンと、1種類のロタウイルスに対する防御をもたらす一価ワクチン)が使用されていた。いずれかのワクチンを接種された小児は、接種されなかった小児に比べてロタウイルス感染による入院率が94%低かった。また、ワクチン接種後60日以内の入院者数は、全体で31%少なかった。この結果は、これらのワクチンが安全であることを示唆していると考えられる。五価ワクチンの3回接種を完了した乳児は、1型糖尿病のリスクが37%低下した。
ヒトと動物の先行研究から、ロタウイルス感染は、1型糖尿病やβ細胞の破壊、膵臓のロタウイルス感染と関連していることが明らかになっている。ロタウイルスワクチン接種と1型糖尿病のリスク低下との関連をより詳細に調査するためにはさらなる研究が必要だが、Rogersたちは、ロタウイルスワクチン接種が1型糖尿病の予防に役立つ実用的な手段となる可能性があるという考えを示している。
doi: 10.1038/s41598-019-44193-4
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