注目の論文
【ゲノミクス】全てのがんについて転移性腫瘍の全ゲノム解析を行う
Nature
2019年10月24日
Genomics: Pan-cancer whole-genome analysis of metastatic tumours
これまでに報告されたことのない大規模な転移性固形腫瘍の全ゲノム解析研究が行われ、転移がんの遺伝的特徴に関する貴重なカタログが得られ、精密な標的療法の一環として臨床実施できる可能性が示された。この研究の結果を報告する論文が、今週掲載され、がん関連死の主な原因である転移がんの治療法を改善するための取り組みに役立つ情報になると考えられる。
転移がんは、抗がん治療にあまり反応しない傾向がある。がん細胞の拡散に関連する遺伝的変化の解明を進めることは、個別化治療を設計し、転帰を改善する上で役立つ可能性がある。
今回、Edwin Cuppenたちの研究グループは、がん患者2399人から採取した2500点以上の腫瘍検体を分析し、同じ患者の非がん性血液細胞のゲノムと比較した。今回の研究で得られた知見は、これまでに行われた原発腫瘍の全ゲノム解析の結果を補完するものだが、がんの新たな駆動因子と変異の遺伝的「ホットスポット」も特定された。転移性腫瘍のゲノムにおける変異とドライバー遺伝子は、原発腫瘍の場合とほぼ同じだが、この解析により個々の患者の治療に対する反応性や抵抗性に関係している可能性のある特徴が同定された。そして、承認された治療法の治療転帰に関連する可能性のある遺伝的バリアントが、患者全体の62%で見つかった。
この研究は、転移がんと精密な標的療法を理解する上で全ゲノム塩基配列解読が有益なことを強調している。
doi: 10.1038/s41586-019-1689-y
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