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疫学:COVID-19パンデミックによる超過死亡の計算

Nature Medicine

2020年10月14日

Epidemiology: Calculating excess deaths as a result of the COVID-19 pandemic

Nature Medicine

イングランド、ウェールズ、スペインでは、2020年2月中旬から3月にかけて、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)の結果として、これまでで最も多数の超過死亡がの見られたことが、ヨーロッパの19か国とオーストラリア、ニュージーランドでのモデル化研究によって明らかになった。Nature Medicine に寄せられたこの研究結果は、は、パンデミックが起こらなかった場合の予測に比べて、これらの各国で死者が約20万6000人が余分に死亡したことを示している。

現在のCOVID-19のパンデミックでは、SARS-CoV-2感染による直接的な死者は世界で100万人を超えている。しかし、パンデミックと社会、経済、環境、医療におけるパンデミック対応がもたらす間接的な影響も、相当な大きさになる恐れがある。パンデミックが死亡率に与える全影響を理解することは、パンデミックが人々の健康や政策に与える影響を総合的に評価する上で重要である。

Majid Ezzatiたちは、21か国から得た2010年~2020年2月中旬の毎週の死亡数データを用いて、COVID-19パンデミックが起こらなかった場合に2020年5月までに生じたであろう死亡数を予測するモデルを作成した。そしてこの数字を、各国で実際に報告された死亡数と比較して、原因がCOVID-19であるかそれ以外であるかに関わらず、パンデミックに由来する超過死亡を算出した。そして、これら21か国で20万6000もの超過死亡が、パンデミックの結果として生じたと推定した。10万人当たりの全死因死亡数が最も高かったのは、スペイン、イングランド、ウェールズ、イタリア、スコットランド、ベルギーだった。また、超過死亡数は男性と女性でほとんど違いはなく、男性10万5800人、女性10万人であることが分かった。死亡率の上昇が最も大きかったのはイングランド、ウェールズ、スペインで、10万人当たりの超過死亡は100人近くに上り、パンデミックがなかった場合に比べて、イングランドとウェールズは37%の増加、スペインは38%の増加という結果であった。

これら21か国の間で死亡率に違いがあるのは、人口構成の特徴、パンデミックへ対策、公衆衛生システムの備え、地域社会や施設を基盤とするケアシステムの規模の違いを反映していると、著者たちは結論付けている。現在のパンデミックによる直接的、間接的な死亡を最小限にとどめるためには、ウイルスの伝播を抑えるだけでなく、統合ケアパスを作成して長期的な健康問題を抱える人のため適切なトリアージやケアができるようにすることが重要になるだろう。そのためには、各国、特にこれまで医療ケアシステムや公的介護システムへの投資が不足していた所では、医療ケア資源の再配分と拡充が必要になるかもしれない。

doi: 10.1038/s41591-020-1112-0

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