社会科学:ティーンエージャーの少女たちのインターネット活動と被害のリスク
Nature Human Behaviour
2021年9月28日
Social sciences: Internet activity and risk of victimization of teenage girls
ティーンエージャーの少女のインターネット活動は、オフラインにおけるリスク因子と相まって、ネット上の被害リスクを高める可能性があること、そしてこのリスクは小児期に性的虐待を受けた者で高くなる傾向にあることを示唆する論文が、Nature Human Behaviour に掲載される。
これまでの研究では、インターネットの利用は全般的にティーンエージャーたちに特に問題はないと報告されてきた。しかし、インターネットの利用者は、ネットを介した性犯罪やネット上でのいじめに対して脆弱な可能性がある。ネット上の活動と、それがどのようなリスクと関係しているかを理解することは重要だが、これまでの研究のインターネット活動については、ティーンエージャーたち自身による説明のみによっていた。
今回、Jennie Nollたちは、児童福祉機関から募集した12~16歳の少女460人にノートパソコンを提供し、彼女たちのインターネット活動を4週間にわたって追跡した。そのうち156人は、小児期に性的虐待を受けていたことが確認されている者であった。全参加者に面談を行って、心理学的・社会学的な幸福感の程度、性的行動、ネット上の被害経験の有無が測られた。2年後には同様の面談が2再び実施された。その結果、全体的にティーンエージャーの少女たちは、オンラインおよびオフラインでの活動に基づいて3つのグループに分けられることが明らかとなった。インターネット活動が活発で、心理学的・社会学的幸福感の低いグループの少女たちは、ネット上の被害にあうリスクが最も高かった。これには、ネットいじめを受けるリスクの高さと、ネット上の性的勧誘を受けるリスクの高さが含まれる。小児期に性的虐待を受けた少女たちは、この高リスクグループに含まれる確率が高かった。
今回得られた知見は、ティーンエージャーの少女たちがネット上の被害を被るリスクにはオンラインとオフラインの両方の因子が寄与していること、また小児期に性的虐待を受けた者でそのリスクが高くなる傾向があることを示唆している。一方で、Nollたちは、一般的な結論を引き出す際に考慮すべきいくつかの点に注意を促している。例えば、今回の研究は2012~2015年にのみ実施されたものであること、得られた結果はリスクに注目したものであって被害の要因に注目したものではないこと、そして全てのティーンエージャーたちへの一般化可能性は検討されていないことなどである。
doi: 10.1038/s41562-021-01187-5
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