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健康:高齢者の暑熱曝露のリスクが大きくなる

Nature Communications

2024年5月15日

Health: Heat exposure risk increasing for older adults

Nature Communications

2050年までに危険性の高い急激な暑熱にさらされる高齢者が、世界中で最大2億4600万人に達し、アジアとアフリカの居住者が最も深刻な影響を受けるという予測を示した論文が、Nature Communicationsに掲載される。この知見は、地域レベルの暑熱リスク評価と公衆衛生上の意思決定に役立つ情報となる可能性がある。

世界の人口が、かつてないペースで高齢化している。60歳超の人口は、2050年には現在の2倍の21億人近くに達すると予想されており、その3分の2以上が、気候変動に起因する極端な現象が特に起こりやすい低・中所得国に居住している。猛暑の強度と頻度の上昇と長期化は、身体的な健康にとって直接的な脅威となり、高齢者の場合には、高温に対する感受性が高く、高齢者の一般的な疾患が暑熱への曝露によって悪化するため、特に深刻な結果がもたらされる。極端な高温が高齢者の健康リスクと死亡リスクに及ぼす個人レベルの影響は、詳細かつ幅広い研究によって確認されているが、高齢者の暑熱への曝露を集団レベルで調べる研究はあまり行われてこなかった。

今回、Giacomo Falchettaらは、平均気温の高い状態への慢性的な曝露と、極端な高温状態への急性曝露の頻度と強度を、世界中のさまざまな年齢層について定量化した。その結果、世界人口の69歳超の年齢層に関して、重大な閾値である37.5°Cを超える暑熱への急性曝露を伴う気候下で生活する人の占める割合が、2020年の14%から、2050年までに23%以上に達する可能性のあることが明らかになった。また、Falchettaらは、危険性の高い急激な暑熱にさらされる高齢者が、1億7700万人から2億4600万人に増加する可能性があることも明らかにした。さらに、その影響は、適応能力が最も低いと考えられるアジアとアフリカで最も深刻になると予測された。

Falchettaらは、高齢化が進み、暑熱への曝露が増加している地域では、社会サービスと公共医療サービスに対する需要がかなり高まる可能性が高く、新たな政策介入が必要になるという見方を示している。今回の知見は、健康関連の評価や気候変動適応策の計画に有用と考えられる。

doi: 10.1038/s41467-024-47197-5

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