注目の論文

【惑星科学】スウェーデンの採石場で新しいタイプの隕石が見つかる

Nature Communications

2016年6月15日

Planetary science: Swedish quarry reveals new type of meteorite

Nature Communications

スウェーデンにある石灰岩の採石場で発見された隕石の中から、およそ4億7000万年前に地球に落下した新しいタイプの隕石が見つかった。この知見は、今週掲載される新しい論文で説明されているが、我々の太陽系における隕石(宇宙空間に由来する残骸で地球に落下することがある)の履歴を再現する上で役立つ。

L型コンドライトは、最も一般的なタイプの隕石の1つとして知られ、約4億7000万年前に小惑星と大規模な衝突を起こした大型の母天体に由来するものと考えられているが、この小惑星に関する証拠は今のところ見つかっていない。

約4億7000万年前に地球に落下した100個を超えるL型コンドライトがスウェーデンの採石場で発見されているが、今回、Birger Schmitzたちは、その中から新しいタイプの隕石(長さ10 cm未満)を発見し、O【オー・ウムラウト】st 65と命名した。Schmitzたちは、隕石を分類するために岩石学的分析とクロム・酸素同位体分析を併用し、O【オー・ウムラウト】st 65が、これまでに地球に落下した既知のタイプの隕石のいずれとも地球化学的、岩石学的に異なっていることを明らかにした。Schmitzたちは、宇宙線照射年代測定という年代測定法を用いて、この隕石の年代がL型コンドライトの衝突事象から100万年以内であることを明らかにした。以上の結果から、Schmitzたちは、この新しいタイプの隕石が、大型のL型コンドライト母天体と衝突し、その分裂の原因となった母体小惑星の残骸である可能性を示している。O【オー・ウムラウト】st 65の母体小惑星はL型コンドライト天体との衝突時にほとんど破壊されており、そのためにこのタイプの隕石が地球上で回収されたことがなかったというのがSchmitzたちの見解だ。

この母体小惑星はほとんど破壊されているかもしれないが、その残骸が地球上に定期的に落下してくるL型コンドライトとともに宇宙空間に存在し続けている可能性は残っている。

doi: 10.1038/ncomms11851

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

advertisement
プライバシーマーク制度