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【地質学】ダイヤモンドの一番の味方は硫化鉱物かもしれない

Nature Communications

2016年6月22日

Geology: Sulphides may be a diamond's best friend

Nature Communications

地球のマントルに含まれる硫化鉱物の酸化反応が引き金となってダイヤモンドが生成することを明らかにした新しい論文が、今週掲載される。この新知見は、ダイヤモンドがマントル中の硫化物に核形成して生成することの直接的な証拠となっている。

ダイヤモンドは、さまざまなテクトニクス環境で、地球マントル中の炭素を含む液体とメルトから生成するのが一般的で、ダイヤモンドに包有される微小鉱物や液体は、地底の奥深くで起こっている種々の過程を知る手掛かりになることがある。硫黄は、地球マントルにおける含有率が非常に低いが、ダイヤモンドの包有物における含有率は非常に高い。特に鉄とニッケルが豊富に含まれる硫化鉱物包有物(FeNi硫化鉱物、例えば磁硫鉄鉱)はダイヤモンドの包有物であることが分かっているが、存在している理由を説明できる直接的証拠は、今のところ見つかっていない。

今回、Dorrit Jacobたちは、透過型菊池線回析という手法を用いて、ボツワナで産出されたダイヤモンドの中に見つかったFeNi硫化鉱物包有物の微小構造の画像化とマッピングを行い、ダイヤモンドの形成履歴を解明した。その結果分かったことは、上部マントルの深さ320~330 kmの地点での磁硫鉄鉱から磁鉄鉱への自然な酸化反応が引き金となってダイヤモンドが晶出することがあり、ダイヤモンドが核形成して、磁鉄鉱包有物の周りに成長するようになると、磁鉄鉱包有物はダイヤモンド中に捕捉され、保存されるということだ。地球マントル中で硫化物が局所的に大量に存在し、この酸化反応が起こる領域があり、これが「ダイヤモンド工場」として機能しているとJacobたちは考えている。

ダイヤモンドの生成過程は、テクトニクス環境によってさまざまなものがあるが、今回の研究では、硫化鉱物がダイヤモンドの生成において非常に重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。

doi: 10.1038/ncomms11891

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