注目の論文
【進化】地球最大の大量絶滅の機構と長かった生物の回復を詳細に説明する
Nature Communications
2016年7月20日
Evolution: Iron-ing out the creases in global kill mechanisms
2億5200万年前に起こった地球史上最大の大量絶滅の後に生物の回復が遅れたのは鉄を豊富に含むが酸素欠乏状態の海洋のためだったことを詳しく説明した論文が、今週掲載される。この新知見は、地球の歴史上で大量絶滅後の回復期間が最も長かった原因となる古代の海洋の化学組成に関する手掛かりになっている。
ペルム紀末期(2億5200万年前)に地球上の生物多様性の90%が失われ、その後の回復に500万年という長い期間を要するに至った全球的絶滅機構は、硫黄を多く含む有毒な海洋だと長い間考えられてきた。しかし、この極端な海洋の状態の全球的性質は、不十分な地球化学的ツールに基づいたものであり、あまり突き止められていない。
今回、Matthew Clarksonたちは、高精度の化学的手法(鉄スペシエーション法)を用いて、数百万年前の新テチス海(現在のオマーン)の堆積物である岩石に保存された古代の海洋の化学組成を解析した。古代の浅瀬から深海までの6か所の試料採取場所の化学データから明らかになったのは、これまで予測されていたように有毒な硫黄を多く含む状態が広範に存在するのではなく、鉄を豊富に含むが酸素の少ない海洋の中に酸素を豊富に含むポケットが点在する状態だった。
生物の回復期間が長かったことの正確な原因は明確になっていないが、Clarksonたちは、陸上での(高温による)化学的風化の促進によって海洋への鉄分の流入が増え、鉄を豊富に含むが酸素の少ない状態が維持されて生物の回復が抑制されたと考えている。
doi: 10.1038/ncomms12236
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが裏側の月火山活動の年代を特定Nature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications