注目の論文
【気候科学】東南アジアで4月に異常高温
Nature Communications
2017年6月7日
Climate sciences: Extreme April heat in Southeast Asia
エルニーニョ年が続いた後に東南アジア大陸部の4月の気温が記録的な高温になることを報告する論文が、今週掲載される。この論文では、こうした異常高温の発生頻度が地球温暖化によっても高くなったことが示唆されている。
東南アジア大陸部では、1年中で最も気温が高いのが4月だが、この地域の4月の平均気温が上昇傾向にあり、20世紀中盤以降に気温が摂氏約1度上昇した。そして2016年4月には観測史上最高の気温を記録し、エネルギー消費量に悪影響を及ぼし、作物生産を混乱させ、人々は極度に不快な思いをした。今回、Kaustubh Thirumalaiたちの研究グループは、観測結果とモデルシミュレーションを用いて、エルニーニョ年が数年間続くとその後に東南アジア大陸部で4月の異常高温が必ず起こることを明らかにした。また、Thirumalaiたちは、2016年の異常高温に対する強いエルニーニョ現象の寄与率が約50%だが、異常高温の原因の30%が地球温暖化であったことも明らかにした。以上の結果は、地球温暖化によって東南アジア大陸部の4月の異常高温の発生頻度が高くなったことを示している。
東南アジア大陸部で4月に記録的な高温となる頻度は、地球温暖化の継続によって高まることが予想される、とThirumalaiたちは考えている。こうした4月の異常高温はエルニーニョ現象の後にほぼいつも起こっているため、異常高温を数か月前に予測することで、この脆弱な地域での適応活動に有益な情報を提供できる可能性がある。
doi: 10.1038/ncomms15531
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