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【惑星科学】成層圏を持つ太陽系外惑星

Nature

2017年8月3日

Planetary science: Exoplanet goes stratospheric

超高温の太陽系外巨大ガス惑星WASP-121bの観測結果を報告した論文が、今週掲載される。この観測結果からは、WASP-121bに成層圏(大気の上層部にあり、高度が上がると気温が上昇する)が存在することが示唆されている。

地球を取り巻く大気の層は、気温によって記述できる。成層圏の気温は、地上に接する対流圏の気温よりも高い。太陽系外惑星が成層圏を持つことは理論的に可能だが、それを確かめる唯一の方法は、リモートセンシングを用いた成層圏の化学的特性の解析だ。これまでに太陽系外惑星に成層圏があるという主張がなされているが、太陽系外惑星の親星が大きく変動すること等さまざまな課題があるために疑問が残っている。

Thomas Evansたちの研究グループは、地球から270パーセク(880光年)の距離に位置するWASP-121bについて、ハッブル宇宙望遠鏡による観測を2016年11月に行い、スピッツァー宇宙望遠鏡による観測を2017年1月に行った。Evansたちは、水に相当する輝線の特徴を発見し、WASP-121bに成層圏があると結論づけた。また、Evansたちは、気温の逆転が観測された原因について、酸化バナジウムの存在である可能性が非常に高いとし、酸化チタンの存在を示す弱い証拠も明らかにした。WASP-121bのスペクトルは、成層圏のスペクトル的に分解された特徴が輝線中に見られる初めての太陽系外惑星の事例となった。

doi: 10.1038/nature23266

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