注目の論文
【考古学】消えた河川とインダス文明の繁栄
Nature Communications
2017年11月29日
Archaeology: The Indus Civilisation and the lost river
現在の北西インドとパキスタンに当たる地域に存在した初期文明が河川水源なしにどのようにして繁栄したのかという謎を解明されたとする論文が、今週掲載される。この新知見は、初期文明の発達の仕方に関する現在の考え方に疑問を呈している。
初期の都市社会の居住地の位置は、河川の移動に影響されてきたと考えられている。しかし、青銅器時代のインダス文明(約4600~3900年前)の人々の居住地が最も集中していたのがインドとパキスタンのガンジス川-ヤムナー川水系とインダス川水系に挟まれた地域で、主要な現河川から遠く離れていた。このように河川から離れていた居住地がどのようにして繁栄したのかという点は解明されていない。
今回、Sanjeev Guptaたちの研究グループは、これらの居住地において主要な古河川(古い川の名残)の証拠を発見した。この古河川は、サトレジ川の旧流路にあたる。Guptaたちは、この古河川の堆積物の年代測定を行い、約8000年前にサトレジ川の流路が変わったことを明らかにした。また、居住地は、これまで一般的に考えられていたようにヒマラヤ山脈を水源とする大きな現河川に隣接して発達しておらず、むしろ古い川の名残に沿って繁栄し、発達し続けたことも今回の研究で明らかになった。Guptaたちは、サトレジ川の流路が変わったことで洪水が減り、季節的降雨によって上流の渓谷が水源になったことがともに寄与して、この環境でのインダス文明の成功につながったと考えている。
doi: 10.1038/s41467-017-01643-9
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが裏側の月火山活動の年代を特定Nature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications