注目の論文

漁業の持続可能な解決策

Nature Ecology & Evolution

2018年3月20日

Fishing for a sustainable solution

持続可能な漁業には、合法的な操業の抑制ばかりに頼るのではなく、違法操業対策を行う方が、容易で安上がりな方策となる可能性があることを報告する論文が、今週掲載される。

乱獲が生物多様性、食料安全保障、そして漁業者の生計を脅かしているが、対処するには漁獲と利益の短期的な減少を伴うため、多くの国は断固たる行動に出ることに二の足を踏んでいる。この重荷に輪をかけているのが違法・無報告・無規制(IUU)漁業であり、IUU漁業は世界の総漁獲高の約20%を占める。ある国の排他的経済水域でのIUU漁業は、多くが外国漁船によって行われている。自国海域でのIUU漁業を抑制するために多大な努力を傾注している国もあり、例えばインドネシアは、違法な外国漁船を破壊し、外国船舶を禁止し、また洋上での船舶間の荷渡しを制限している。しかし、資源の持続可能性に対するこの種の取り組みの効果は、調査されたことがない。

Reniel Cabralたちは、衛星追跡、船舶監視データ、および生物経済学的モデリングを用いて、インドネシアでの違法カツオ漁に対する取り組みを調べた。その結果、規制により、外国船がインドネシアの海域で操業する時間は90%短縮し、漁船数も全体で30%減少したことが分かった。一方、この減少に伴って自国船は増加した。研究チームの生物経済学的モデルから、違法操業を野放しにすれば、漁獲高が15%、利益が14%、それぞれ減少するのに対し、自国船に持続可能な最大漁獲高の制限をかけて違法漁業を取り締まれば、漁獲高は14%、利益は12%、それぞれ増加する可能性があることが示唆された。

研究チームはガンビアでも同様の傾向を見いだし、IUU漁業の抑制が世界的に持続可能な漁業への単純で費用対効果の高い方策となる可能性があることを示唆している。また、IUU漁業への対処とその根絶には、衛星データと政府の公開データが重要であることも強調している。

doi: 10.1038/s41559-018-0499-1

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