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【考古学】解体されたサイの化石から初期人類がフィリピンでもっと昔から生活していたことが明らかに

Nature

2018年5月3日

Archaeology: Butchered rhino remains push back early human presence in Philippines

Nature

初期人類がフィリピンで生活していたのは、今から70万9000年前までさかのぼる可能性のあることを明らかにした論文が、今週掲載される。石器で解体された痕跡のあるサイの骨の化石が、ヒト族の活動を示す証拠となった。

更新世に生息していた可能性の高い大型動物の化石と石器が、1950年代にフィリピンのルソン島で別々に発見され、この島に初期人類が定住したのは更新世中期(78万1000~12万6000年前)であった可能性が示唆されている。ところが、このことを裏付ける確実に年代決定された証拠は見つかっていない。これまでのところ、フィリピンにヒト族が生活していたことを示す具体的な証拠で最も古いものは、シエラマドレ山脈で発見された片方の足骨の化石で、6万7000年前のものと年代決定されていた。

今回、Thomas Ingiccoたちの研究グループは、ルソン島北部のカガヤンバレー地方の遺跡で、57点の打製石器と共に400点を超える骨の化石が発見され、その中には、1頭のサイの75%完全な化石が含まれていたことを報告している。サイの骨化石のうち13点には切り痕があり、2点には骨髄を取り出すための打撃痕があった。また、Ingiccoたちは、フィリピンジカ、オオトカゲ類、淡水カメ、およびステゴドン(ゾウやマンモスに似た絶滅した動物属)の化石も発掘し、約70万9000年前のものと年代決定した。

これらの石器の持ち主の正確な種は分かっていないが、今回の研究によって得られた知見は、東南アジアの隣接する2つの島(フローレス島とスラウェシ島)の場合と同様に、初期人類が、現生人類の到来のはるか前の中期更新世の初期にフィリピンに到達したことを示唆している。加えて、今回の研究結果は、道具作りをした初期ヒト族が単純な構造の船を作るという意外な能力を持っていたか否か、という論争に一石を投じるものとなった。

doi: 10.1038/s41586-018-0072-8

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