注目の論文
【環境】カリフォルニア州の地下水のヒ素汚染
Nature Communications
2018年6月6日
Environment: California groundwater arsenic contamination
米国カリフォルニア州サンホアキン渓谷での2007~2015年の地下水の過剰なくみ上げによって、水源のヒ素濃度が上昇した可能性のあることをモデル研究で明らかにした論文が、今週掲載される。
米国全土の地下水くみ上げの約20%がカリフォルニア州のセントラルヴァレーで行われており、セントラルヴァレー内のサンホアキン渓谷の住民約100万人の飲料水の主な水源は地下水である。ヒ素は地下水に含まれる天然汚染物質で、帯水層(地下水で満たされた透水性の地層)の粘土層の間隙水の中に高濃度で存在していることが知られているが、地下水の汲み上げが安全量の範囲内にあれば、ヒ素は粘土層にとどまっている。
今回、Ryan Smithたちの研究チームは、ヒ素濃度を予測するための定量的モデルを考案した。このモデルでは、ヒ素濃度が、サンホアキン渓谷での地下水の過剰なくみ上げを原因とする地盤沈下率と相関している。Smithたちは、地下水の過剰なくみ上げによって高濃度のヒ素を含む間隙水が粘土層から流出し、この粘土層が変形して地盤沈下が起こり、その結果、主たる帯水層の水が汚染されることを明らかにした。
Smithたちは、サンホアキン渓谷の帯水層からの地下水の過剰なくみ上げを避けることで、水質が改善されるという考えを示している。
doi: 10.1038/s41467-018-04475-3
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