注目の論文

【天文学】反復する高速電波バーストの2度目の検出

Nature

2019年1月10日

Astronomy: A second repeating fast radio burst detected

反復する高速電波バーストが検出されたことを報告する論文が、今週掲載される。反復する高速電波バーストが検出されたのはこれが2度目で、今回の観測で新たに検出された13回の高速電波バーストに含まれている。なお、これらの高速電波バーストについては、同時掲載のもう1編の論文で報告されている。

高速電波バースト(FRB)は、銀河系外で数ミリ秒間継続する電波閃光で、その物理的な起源は分かっていない。反復するFRBは、これまでに1度だけ検出されており、FRB 121102と命名された。また、これまでの記録によれば、電波周波数が最も低いFRBは700メガヘルツだった。

今回、CHIME(カナダ水素密度マッピング実験)/FRBコラボレーションによる1つ目の論文には、CHIMEの観測装置によって新たに13回のFRBが検出されたことが紹介されている。そのうちの少なくとも7回は400メガヘルツで、これまでに記録された中で電波周波数が最も低い。これについて著者たちは、CHIMEの観測装置の検出感度の下限を下回る周波数のFRBであった可能性があるという考えを示している。

同コラボレーションによる2つ目の論文では、新たに検出されたFRBの1つであるFRB 180814.J0422+73が反復するFRBであったことが報告されている。反復するFRBが検出されたのは、今回を含めて2度だけである。著者たちは今回、6回の反復を検出し、これらの発生場所が同じと考えられることを報告している。これらのバーストの発生源は約15億光年の彼方にあると推定されており、もう1つの反復するFRB(FRB 121102)の発生源までの距離の約半分である。著者たちはまた、6回の反復にはいくつかの類似点があり、放射機構か伝播効果が類似していることが示唆されると指摘している。

CHIMEの観測装置が反復するFRBをすでに2度検出したため、著者たちは今後、反復するFRBの発生源が相当数検出されるという仮説を提起している。

doi: 10.1038/s41586-018-0864-x

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