【化石】コウモリのように飛んだ小型恐竜の化石証拠
Nature
2019年5月9日
Fossils: More evidence for bat-like flight in tiny dinosaurs
コウモリのような翼を持つスカンソリオプテリクス類恐竜の新種の化石が中国遼寧省で発見されたことを報告する論文が、今週掲載される。この化石標本は、約1億6300万年前のものと年代測定され、鳥類に近縁の恐竜類が飛行し始める直前の時期にいろいろな翼構造を試していたことを示唆する証拠となる。
スカンソリオプテリクス類は、小型恐竜(体重約200グラム)の分類群で、前肢と指が非常に長く、樹上生活する羽毛恐竜として復元されるのが一般的だ。しかし、最近発見されたスカンソリオプテリクス類恐竜のYi qi は、これとは異なっていた。イー(Yi qi)には、尖筆状突起(styliform element)に支えられた、コウモリの翼に似た膜状翼があったと考えられるのだ。この種の膜状翼は、恐竜以外の飛行能力を有する脊椎動物の系統(コウモリ類や翼竜類など)が持っていたが、獣脚類恐竜も有していたことはこれまで知られていなかった。
今回、Min Wangたちの研究グループは、Ambopteryx longibrachiumと名付けたスカンソリオプテリクス類について、これがイーと同じような膜状翼と尖筆状突起を有していたと説明している。しかし、Ambopteryxにはイーと異なる特徴がいくつかあり、例えば、Ambopteryxは前肢骨の幅が広く、短い尾の末端で椎骨が融合しており、非常に長い前肢は後肢より長い。
Wangたちは、スカンソリオプテリクス類と鳥類の系統が分岐し、異なる経路で飛行能力を備えるに至ったが、その分岐が近づいた頃に翼構造に著しい変化が生じたことを明らかにした。また著者たちは、スカンソリオプテリクス類に備わっていた膜状翼と長い前肢は、短期間で終わった飛行実験を示すものであり、その後、羽毛の生えた翼が優勢になった可能性が非常に高いという考えを示している。
doi: 10.1038/s41586-019-1137-z
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