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アメリカナキウサギの気候に対する応答に影響を及ぼすのは遺伝的要因ではなく地理的要因

Nature Climate Change

2019年9月24日

Geography, not genetics, influences the American pika’s response to climate

Nature Climate Change

アメリカナキウサギの気候に対する応答の時空間的差異を予測する際に遺伝的要因より地理的要因の方が重要な役割を果たすという見解を示す論文が掲載される。

同じ生物種でも気候に対する応答が異なっている原因とそのことが気候の変化に対する生物種の適応性にどのように影響するのかを理解することは、保全活動にとって重要だ。こうした差異が生じる原因は、個体群間の遺伝的差異だと考えられていた。アメリカナキウサギは、ウサギと野ウサギに近縁な小型動物種で、北米西部の高地に典型的に見られ、その極端な気候に対する感受性を調べる研究が長い間行われてきた。

今回、Adam Smith、Erik Beeverたちの研究グループは、博物館、野生生物機関、個々の研究者、科学文献からデータを幅広く集め、アメリカナキウサギの気候に対する応答が個体群によって異なっている原因の分析を行った。この研究では、8つの仮説の検証が行われ、アメリカナキウサギの個体群を生態地域によって分類すると、気候に対する応答の差異を最もよく説明できることが明らかになった。このことは、アメリカナキウサギの分布が、単にその進化史を反映しているのではなく、むしろ、その生息域の特徴に強く関連していることを意味している。そうなっているのは、アメリカナキウサギがさまざまな植物を食餌とし、日よけに使っているからかもしれないし、あるいは微小逃避地(岩陰や地下氷の近くなどの生息域内の涼しい場所)に依存して温暖化を生き延びているからかもしれない。

保全政策を策定する際に地理的要因を考慮すべきことが以上の知見から示唆されていると論文著者は結論づけている。一方、この論文と関連したMeagan OldfatherのNews & Viewsには、「[これらの知見]は、懸念される種に対する地域限定的な管理と回復の必要性にとって重要な意味を持っている。すなわち、ある地域で成功した管理手法が、別の地域では不適切なものとなり、悲惨な結果をもたらす場合さえあるかもしれないのだ」と記されている。

doi: 10.1038/s41558-019-0584-8

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