注目の論文
地球科学:ユーラシア氷床の部分的な崩壊が急速な海水準上昇をもたらした可能性
Nature Geoscience
2020年4月21日
Geoscience: Partial Eurasian ice sheet collapse may have led to rapid sea level rise
ユーラシア氷床の一部が約1万4650年前に崩壊し、400年未満の間に、全球海水準の12から14メートルの上昇に大きく寄与したすることを示した論文が、Nature Geoscience に掲載される。
最終氷期極大期は、地球史の中の1つの期間で、約3万3000年前に始まり、全球の温度が低く北半球の大部分が厚い氷床に覆われていたという特徴を持つ。この期間のユーラシア氷床の氷の体積は、最大で現在のグリーンランド氷床のおよそ3倍であり、その時代で3番目に大きな氷床であった。しかし、ユーラシア氷床の融解の大半は、融水パルス1Aとして知られる約1万4600年前の急速な海水準上昇(急速な気候温暖化の時期と一致する)に寄与するには早過ぎたと考えられている。
今回、Jo Brendryenたちは、ノルウェー海で得られた堆積物コアの年代データに基づいてこれらの事象の時期を分析した。詳細に年代を再現した結果から、ユーラシア氷床の一部(現在の西南極氷床の大きさに匹敵)が融解したのは、融水パルス1A事象と同時期であり、氷床の崩壊は500年以内の期間に急速に発生したことが示された。著者たちは、ユーラシア氷床のこの後期の融解が、12〜14メートルの急速な全球海水面上昇の20〜60%に寄与した可能性を示唆している。
今回の知見により、今日のそうした急速な崩壊に対する現代の氷床の脆弱性のより良い理解がもたらされるかもしれない。
doi: 10.1038/s41561-020-0567-4
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが裏側の月火山活動の年代を特定Nature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications