注目の論文
惑星科学:木星の衛星エウロパは夜側で輝いている可能性がある
Nature Astronomy
2020年11月10日
Planetary science: Jupiter’s moon Europa may glow in the dark
木星の衛星エウロパの夜側は目に見えるほど明るい可能性があることを、実験室でのシミュレーションによって明らかにした論文が、今週、Nature Astronomy に掲載される。今回の研究で示された計算によれば、NASAが2020年代中期の打ち上げを計画しているエウロパ・クリッパーと呼ばれる探査ミッションで、この現象が観測される可能性がある。
エウロパの地表下にはおそらく、主に水氷で形成される厚い氷殻に覆われた海洋が存在している。エウロパの外表面は、木星からの高いレベルの放射を受けている。今回、Murthy Gudipatiたちは、実験室で高エネルギーの電子を、塩を含む氷に照射することで、この放射とエウロパ表面の相互作用をシミュレーションした。その結果、電子を照射された氷は、電子励起発光と呼ばれる過程で、緑色がかった光を放つことが明らかになった。放射光の強度は、氷の組成によって異なっていた。
Gudipatiたちは、探査機エウロパ・クリッパーによる低高度の接近通過によって、さまざまな波長領域で氷の発光がどの程度見られるかを計測することで、エウロパの夜側表面の化学組成を決定し、マッピングできると主張している。地表でエネルギーを受けて処理された氷の生成物と海洋物質の交換は地質学的な時間スケールで行われる可能性があるため、そのような観測結果は、例えば海洋の塩分濃度の絞り込みなど、地表下の海洋の特徴を明らかにできる可能性もある。
doi: 10.1038/s41550-020-01248-1
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