注目の論文
地滑りが氷河を前進させる
Nature Geoscience
2008年6月30日
Landslides drive glacial advances
最終氷期終末期にニュージーランドのワイホ・ループ・モレーンを形成したフランツ・ヨセフ氷河の再前進は、気候変動ではなく近くの山の地滑りにより起きた。ニュージーランド南アルプス地域にあるワイホ・ループは新ドリアス再寒冷期において南半球が寒冷化した証拠として解釈されてきた。
Nature Geoscience(電子版)に発表される研究で、J Schulmeisterらは、ワイホ・ループ・モレーン(氷河により運ばれて堆積した岩屑物質)から採取された大量の岩石試料を研究した。岩石種と岩屑物質粒子特性の分析に基づいて、彼らは、モレーンは典型的な氷河により輸送された物質ではなく、大規模な地滑りの生成物でできていると結論した。彼らは、近くにあるルーム山の地滑りが氷河の上を覆い、その表面から氷が失われることを妨げたので、結果的に氷河を前進させることになったことを示唆している。
著者らは、孤立した氷河を前進させるために地滑りは、これまで考えられていたよりも重要な役割を果たす可能性があり、どこでも同じような孤立したモレーンの解釈をする場合には注意が必要であると述べている。
doi: 10.1038/ngeo249
注目の論文
-
1月17日
進化:初期の人類は100万年以上前に過酷な砂漠の条件に適応したCommunications Earth & Environment
-
1月16日
人類学:鉄器時代のブリテンにおけるケルトの「ガールパワー」Nature
-
1月16日
環境:ノルドストリーム海底パイプラインの漏れによるメタン排出量の調査Nature
-
1月9日
古生物学:パンクとエモの化石が軟体動物進化の理解を揺るがすNature
-
1月9日
生物多様性:淡水生物の約4分の1が絶滅の危機に瀕しているNature
-
1月2日
地質学:イエローストーンの火山活動は北東方向に移動しているかもしれないNature