ヒトの進化:東アジアでオーカーの加工が行われていたことを示す最も古い証拠
Nature
2022年3月3日
Human evolution: Earliest evidence for ochre processing in east Asia
東アジアでオーカーの加工が行われていたことを示す最も古い証拠について報告する論文が、今週、Nature に掲載される。この顔料を使用することは、現代人の文化の一部になっている象徴行動と関連している。今回の知見には、中国北部の遺跡から出土した小型石器が含まれている。これは、東アジアに特有のものであり、ホモ・サピエンスの拡大に関する新たな手掛かりとなっている。
ホモ・サピエンスは、少なくとも4万年前には北アジアに存在していたことが、現在の考古学的証拠から示唆されている。しかし、当時存在していた文化的適応は明らかになっていない。
今回、Shi-Xia Yangたちは、中国北部の泥河湾盆地で新たに発掘された保存状態が良好なXiamabei遺跡で、約4万年前のものとされるオーカーを加工するための材料と革新的な石器群が発見されたことを報告している。この遺跡で発見されたオーカー塊は、いろいろなタイプのオーカーが剥離と連打によって加工され、さまざまな色と粒子サイズの粉末が製造されていたことを示している。この石器群は、382点の人工遺物からなり、小型化(オーカー塊のほとんど全てが40ミリメートル未満で、大部分が20ミリメートル未満だった)やハフティング(石器に取っ手やストラップを取り付ける工程)など、ホモ・サピエンスの斬新で複雑な技術的能力を示している。
Yangたちは、Xiamabeiにおける文化的形質の組み合わせが独特で、古代人(例えば、ネアンデルタール人やデニソワ人)の居住地とされる他の考古遺跡で見つかった文化的形質や、ホモ・サピエンスの拡大と一般的に関連付けられている文化的形質とは一致しないと指摘している。Yangたちは、これは、現生人類が初めて定住した地域の1つがXiamabeiだったことを示しており、地元のデニソワ人との文化的混合と遺伝的混合が起こり、その後、デニソワ人たちは第2の移民に取って代わられたのかもしれないという考えを示している。Yangたちはまた、ホモ・サピエンスの拡大に関して、異なる遺伝的交流と文化的交流が広範な地域で繰り返し起こったという複雑な進化シナリオが、今回の知見によって裏付けられたと主張している。
doi: 10.1038/s41586-022-04445-2
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