天文学:星が「惑星を飲み込む」現場を押さえる
Nature
2023年5月4日
Astronomy: ‘Planet-eating’ star caught in the act
惑星が親星に「飲み込まれる」ように見える現象の観測結果について報告する論文が、今週、Natureに掲載される。これにより、惑星系の進化に関する新たな知見が得られ、星の進化に伴う惑星の運命を突き止める研究に役立つ可能性がある。
星は、加齢に伴い膨張して巨星の状態になる。そのような巨星は、近くを周回する惑星を飲み込むことが理論的に予測されている。しかし、この飲み込む段階が実際に観測されたことはない。今回の研究では、天の川銀河の銀河円盤から放射線のバーストが検出されたことが詳細に報告されており、星を周回する惑星が、その星によって消費されることを示す直接的な証拠となる可能性がある。
Kishalay Deらは、天の川銀河の円盤で短寿命(約10日間)の可視光アウトバースト(ZTF SLRN-2020)を観測した結果を報告している。このアウトバーストは、長寿命の明るい赤外線放射を伴っており、この赤外線は、約半年の間に徐々に減衰した。Deらは、さまざまなモデルを実行して、このアウトバーストの発生源の特性と可視光線と赤外線の放射をもたらした天文現象を特定した。今回の観測結果は、(2つの星の合体によると考えられている)赤色新星といくつかの類似点があるが、光度が低いため、Deらは、星より小さい天体が合体現象に関与していたと考えられるとし、その天体は、質量が木星の10倍以下程度の惑星だったという考えを示している。
同時掲載のNews & Viewsでは、Smadar Naozが、この一連の現象がどのように起こったかを次のようにまとめている。「巨大な惑星が親星に近づき過ぎ、しばらくの間は親星との相互作用があったが、その後、アウトバーストが起こり、このことが、星による惑星の飲み込みと相関した可能性が非常に高い。」Naozは、惑星が最終的に親星によって消費されるかどうかは一定の条件に依存している点を指摘して、今後もZTF SLRN-2020を観測することの必要性を示している。Naozは、「こうした観測による検証がなされれば、これと同様の事象だけでなく、それを引き起こす機構に関する膨大な研究への道が開かれることは確実である」と結論付けている。
doi: 10.1038/s41586-023-05842-x
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