環境:モデル化研究による地表水汚染の将来予測
Nature Water
2023年7月18日
Environment: Future surface water pollution modelled
西暦2100年までに最大55億人が地表水汚染の影響を受ける可能性のあることが、モデル化研究によって明らかになった。このことを報告する論文が、Nature Waterに掲載される。今回の知見から、21世紀末の時点で、サハラ以南のアフリカが、地球上の地表水汚染のホットスポットになるという予測が示された。
これから数十年間にわたって、利用可能水量が、気候変動と社会経済的発展の両方の影響を受けることが予想されている。さまざまな水利用部門(家事、製造業、畜産業、灌漑活動)に由来する汚染物質は、水質に影響を及ぼす可能性があるが、こうした影響を緩和するために必要な管理が全世界で整合的に行われていない。さらに、世界規模での水質の定量的将来予測がほとんど実施されていない。
今回、Edward Jonesらは、全球的な地表水の水質に関する高解像度モデルを使って、一定数の共通社会経済経路と代表的濃度経路に基づいた2005~2100年の地表水の水温と各種指標(塩分、有機汚染、病原体汚染)のシミュレーションを行った。その結果、気候シナリオや社会経済的シナリオ、汚染の種類によって、2100年までに最大55億人が地表水汚染の影響を受ける可能性のあることが分かった。Jonesらは、21世紀末に世界人口のそれぞれ17~27%、20~37%、22~44%が、地表水の塩水化、有機汚染、病原体汚染にさらされ、開発途上国に居住する人々が、地表水の水質悪化の影響を過大に受けることになるという見解を示している。そして、Jonesらは、将来の気候シナリオや社会経済的シナリオに関係なく、サハラ以南のアフリカが世界の地表水汚染の新たなホットスポットになる可能性を指摘している。
doi: 10.1038/s44221-023-00105-5
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが裏側の月火山活動の年代を特定Nature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications