海洋プラスチック汚染は過大評価されていたが、予想よりも長く残存するかもしれない
Nature Geoscience
2023年8月8日
Environment: Marine plastic pollution overestimated but could persist longer than expected
2.5センチメートルより大きいプラスチックは、これまで考えられていたよりも長く残存する可能性があり、2020年に全球でもともと浮遊していた海洋プラスチック質量のほぼ95%を占めていたことを明らかにしたモデル化研究について報告する論文が、Nature Geoscienceに掲載される。この発見は、過去数十年(1980~2020年)の観測データと海洋3Dモデルに基づいている。
これまで、2億5000万キログラム(250キロトン)のプラスチック汚染が全球の海洋表面で見つかる可能性があると見積もられていたが、これよりもずっと多量のプラスチックが毎年海洋に流入していると予測されていた。この食い違いは、陸上と河川から流入するプラスチック量が過大評価されていたり、このプラスチックの大部分が未知の過程によって海洋表面から取り除かれていたり、破砕・劣化したりした結果であると示唆されてきた。
Mikael Kaandorpらは今回、この食い違いの原因を調べるために、プラスチック汚染の全球観測データを数値モデルに取り込み、プラスチック粒子が海洋の中でどのように移動し、変化するかを追跡した。その結果、2020年には3200キロトンの浮遊プラスチックが海洋に存在していたと見積もられた。このうち470~540キロトンのプラスチックは2020年に海洋に流入したものであり、そのおよそ半分は漁業活動に直接由来し、残りは海岸と河川に由来していた。Kaandorpらは、この浮遊プラスチックの95%は2.5センチメートルより大きく、マイクロプラスチックは質量ではごくわずかを占めるにすぎないと言及している。またKaandorpらは、プラスチックの総量は比較的多いが、流入量はこれまでの見積もりよりも少ないため、海洋プラスチックを取り除く未知の過程は存在しないことを示している。Kaandorpらは、この種のプラスチックの寿命や存在時間は長く、2年以内に劣化したり沈んだりするのはわずか10%であると示唆している。
Kaandorpらは、浮遊プラスチックの海洋への流入は毎年4%増加していると見積もっており、海洋プラスチック汚染を減らすための緊急の行動の必要性を強調している。
doi: 10.1038/s41561-023-01216-0
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが裏側の月火山活動の年代を特定Nature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications