水中探査が明らかにした予想外に大きなサントリーニ火山の歴史的噴火
Nature Geoscience
2024年3月26日
Geoscience: Underwater exploration reveals an unexpectedly large historic eruption of Santorini
サントリーニ・カルデラのカメニ火山で紀元726年に起きた歴史的噴火は、これまで考えられていたよりも爆発的であった可能性があることを示した論文が、Nature Geoscienceに掲載される。この知見は、噴出性の噴火が支配的であると考えられていたカルデラにおいても、大規模な爆発的噴火が生じ得ることを示唆している。
サントリーニ火山は複数の周期を持つカルデラ(火山が噴火し、崩落して形成された大きなくぼ地)の例であり、その周期は、主要なカルデラ形成事象の間に長期にわたって、噴出性からやや爆発性の噴火活動があるという特徴を持つ。紀元前1600年ごろのサントリーニ火山の最後のカルデラ形成噴火は、火山下のマグマだまりを排出することで大きな火山を崩壊させ、環状の小さな島でできたカルデラを後に残した。カルデラの中央部に位置するカメニ火山は、この噴火後に形成されたもので、新しいカルデラ周期の始まりを示しており、その噴火の記録は沿岸の堆積物と歴史的な記録に記載されている。
今回、Jonas Preineらは、カルデラの海中の構造とその火山の歴史を調べるために、カメニ火山の4カ所の深部掘削地点で得られた堆積物を地震反射法データと共に分析した。Preineらは、カルデラ内に埋設された火山性軽石と灰の厚い層を特定し、これを、知られている最後のカルデラ形成事象からわずか2000年後の紀元726年ごろのカメニ火山の噴火と関連付けた。Preineらは、この灰と岩の層の体積は最大3.1立方キロメートルに及ぶ可能性があり、これまで見積もられていたサントリーニ火山の最悪の噴火シナリオを超す噴火マグニチュード5と推定されることを示した。
これらの結果は、サントリーニ・カルデラが、カルデラ形成事象の直後の通常は穏やかな火山の期間にも、爆発的噴火を生じ得ることを示唆している。Preineらは、今回の知見は、このようなタイプの火山カルデラに関連するリスクを理解する助けになると結論付けている。
doi: 10.1038/s41561-024-01392-7
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