注目の論文

全球の地表水と地下水のPFAS汚染の評価

Nature Geoscience

2024年4月9日

Environment: PFAS pollution in global surface and groundwater assessed

全球の水資源の大部分が、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)により国内基準値を超えて汚染されている可能性があることを示唆した論文が、Nature Geoscienceに掲載される。この知見は、PFASの生態学的影響とPFASがもたらし得る健康上のリスクの評価に影響を及ぼす。

PFASは1万4000以上の化合物の総称で、水、油、汚れ、熱に対する耐性を持たせるために製造や消費財に広く使われている。PFASはいったん放出されると環境中に残留することから、「永遠の化学物質」として知られ、これらの化学物質のいくつかは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の下で使用と生産が制限されている。飲料水のPFAS含有量を制限する規則を導入している国もあるが、全球の水資源におけるOFAS汚染の分布と広がりついてはまだよく分かっていない。

今回、Denis O’Carrollらは、2004年以降に世界中で収集された4万5000以上の試料について利用可能なPFASデータを収集・分析し、地表水と地下水でPFAS汚染がどの程度まで全球の基準を上回っているかを評価した。その結果、採取した水の大部分がPFASの飲料水としての指針の閾値限界を超えており、超過の程度は管轄とPFAS排出源に依存していることが明らかになった。既知のPFAS排出源がない地域で収集された試料では、31%の地下水試料がアメリカ環境保護庁の提案する閾値限界を超えていた。また、未知の汚染源がある地域で収集された試料では、69%の地下水試料がカナダ保健省の基準を、6%の地下水試料が欧州連合の基準をそれぞれ超過していた。O’Carrollらは、超過している割合が、既知の汚染源(PFAS製造施設など)がある地域の試料では増加していることを示唆している。

O’Carrollらは、現在実施されている監視では、監視されているPFASの数が限定的であるため、PFAS環境汚染が過小評価されている可能性があり、実際の全球の水資源の汚染は考えられているよりも大きい可能性があると示唆している。

doi: 10.1038/s41561-024-01402-8

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度