注目の論文
生物学:闘争・逃走系の起源
Nature
2024年4月18日
Biology: The origins of the ‘fight or flight’ system
交感神経系は有顎脊椎動物に特有なものとこれまで考えられていたが、今週、Natureに掲載される論文で、無顎脊椎動物であるヤツメウナギに原始的な交感神経系が存在することを示す証拠が発表される。この知見は、無意識のうちに作動し、闘争・逃走反応を制御する交感神経系の起源を再考するきっかけになるかもしれない。
交感神経系は有顎脊椎動物で進化したと考えられており、ヤツメウナギには交感神経系がないと考えられていた。これに対して、Marianne Bronnerらは、ヤツメウナギの幼生の胴体に一対の交感神経ニューロンの束が鎖状に配置されていることを発見した。
Bronnerらは、この原始的な交感神経系が、神経堤細胞という胚性構造物に由来することを明らかにした。神経堤細胞は、遊走性を有する幹細胞の一過的な集団で、脊椎動物の数多くの重要な構造を生み出している。こうした特徴の多くは、無顎脊椎動物の祖先にも存在していたが、一部の特徴(顎や交感神経系など)は、その後、有顎脊椎動物において出現したと一般的に考えられている。今回の知見は、交感神経系が有顎脊椎動物に初めて出現したとする見解に異論を唱えるものであり、ヤツメウナギなどの無顎脊椎動物が、複雑な脊椎動物の特徴の出現を理解するための重要なモデルであることを明確に示している。
doi: 10.1038/s41586-024-07297-0
注目の論文
-
2月19日
生態学:深海の生態系を調査するNature Communications
-
2月13日
動物の行動:カメは磁気地図が食べ物に導くと踊るNature
-
2月11日
地球科学:地球の内核の変化を検出Nature Geoscience
-
2月11日
気候変動:2024年の気温がパリ協定の目標に与える影響の評価Nature Climate Change
-
2月6日
遺伝学:古代のゲノムがヤムナ文化の起源の手がかりとなるNature
-
2月5日
惑星科学:月のグランドキャニオンの形成Nature Communications