注目の論文

環境:泥炭地で栽培された作物から生成されるバイオメタンがより多くの排出を生むかもしれない

Nature Climate Change

2024年9月10日

Environment: Biomethane from peat-grown crops may produce more emissions

排水された泥炭地で栽培されたトウモロコシから生産されるバイオメタンは、天然ガスの3倍の二酸化炭素排出量をもたらす可能性があることを分析した論文が、Nature Climate Changeに掲載される。

バイオメタンは、天然ガスに代わる持続可能なエネルギーとして推進されており、世界中の政府がその生産と飼料作物の栽培を奨励し、バイオメタンの生産は2020年以降400%増加している。このガスは、飼料作物の嫌気性消化から生産される。鉱物性土壌で栽培された作物から生産されたバイオメタンを燃焼させることは、通常、ネットゼロと仮定される。しかし、飼料作物は耕作地である泥炭地で栽培されることが増えており、この泥炭地は農地の中で最も温室効果ガスの排出量が多いと推定されている。

Chris Evansらは、英国の排水された泥炭地で栽培されたトウモロコシの二酸化炭素フラックスを測定し、これらの作物から生産されるバイオメタンのカーボンフットプリントを算出した。著者らは、排水された泥炭地の単位面積当たりにどれだけのバイオメタンが生産され、栽培期間中にどれだけの二酸化炭素が放出されるかを分析した。その結果、土壌から排出される二酸化炭素は、同量の天然ガスを燃焼させた場合に排出される二酸化炭素の最大3倍であることがわかった。著者らは、以前は農業用に排水されていた泥炭地を再び湿らせるか、あるいは食糧生産下にある土地の水位を上げることで、同じ土地をバイオ燃料作物の集約的生産のみに利用するよりも、温室効果ガスの排出量を削減することができ、気候緩和にも長期的なメリットがあることを示唆している。

著者らは、すべてのバイオエネルギープロジェクトは、泥炭の排水による温室効果ガス排出を考慮すべきであり、特に土壌の温室効果ガス排出がバイオエネルギーによる回避された排出量を上回る損益分岐点を考慮すべきであると結論づけている。

Evans, C.D., Rowe, R.L., Freeman, B.W.J. et al. Biomethane produced from maize grown on peat emits more CO2 than natural gas. Nat. Clim. Chang. (2024). https://doi.org/10.1038/s41558-024-02111-1

doi: 10.1038/s41558-024-02111-1

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