生態学:海底の下で動物の生息が発見される
Nature Communications
2024年10月16日
Ecology: Animal life discovered below the seafloor
東太平洋海嶺の海底熱水噴出孔における海底の下に動物生命が発見されたことを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。この研究は、深海に存在する複雑な生息環境に新たな光を投げかける。
東太平洋海嶺は、太平洋の海底で2つの地殻プレートが合わさる場所にある火山活動が活発な海嶺である。そこには、海水と地殻の下にあるマグマが交わる海底の裂け目である熱水噴出孔が多数存在する。これまでの研究では、チューブワーム(ハオリムシ)やムール貝など、これらの噴出孔周辺の海底に生息する生物に焦点が当てられていたが、浅い海底地殻の下に動物が生存している可能性については、ほとんど調査されてこなかった。
Monika BrightおよびSabine Gollnerらは、シュミット海洋研究所の調査船Falkor(too)で、遠隔操作無人探査機SuB-astianを使用して、東太平洋海嶺の水深2,515メートル地点にある熱水噴出孔の調査を開始した。車両のアームを使用して海底地殻の一部を露出させたところ、これまで海底でしか発見されていなかったさまざまな生物種、例えば巨大チューブワームやミミズやカタツムリなどの移動性動物が、暖かい液体で満たされた空洞に生息していることが明らかになった。著者らは、海底の生物群集から来た幼生がこれらの海底下の生息地に定着している可能性を示唆しており、海底と海底下の生態系間の複雑なつながりを示している。
地殻下の海底に動物が生息していることが発見されたが、その範囲は現在不明であり、著者らは、将来起こりうる環境変化に対する保護の緊急性が高まっていると指摘している。
Bright, M., Gollner, S., de Oliveira, A.L. et al. Animal life in the shallow subseafloor crust at deep-sea hydrothermal vents. Nat Commun 15, 8466 (2024). https://doi.org/10.1038/s41467-024-52631-9
doi: 10.1038/s41467-024-52631-9
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが裏側の月火山活動の年代を特定Nature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications