注目の論文
風に抵抗する海流
Nature Geoscience
2008年11月24日
Wind-resistant ocean currents
南洋全体の循環(表層水を海洋底に引き込み、深層水を南極近くで表層に上昇させる過程)の強度は、過去数十年にわたる風力の強化によって大きく影響を受けたことはないとする研究成果が、Nature Geoscience(電子版)に発表される。将来、風成循環が強くなることは二酸化炭素を大気から除去して深海へ送る過程を止めるメカニズムとして示唆されている。
C Boningらは、Argoフロート測定機器観測網で得られたデータを、南洋の過去の海洋学的データとあわせて解析した。彼らは、最近の数十年間は、南極周極海流の水温は上昇しており、塩分濃度は下がっていることを発見した。その結果生じる水密度の空間分布から、彼等は南極周極海流の強度も全体の循環も、最近南緯30度から60度の間の西風が強くなったことで影響を受けていることはないと結論した。
研究者は、これまでの海洋モデルの大部分では解像度がなかった小規模渦の活動が風の変化を相殺させ、海洋循環を安定化させていると結論づけている。
doi: 10.1038/ngeo362
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