注目の論文
モデルと調和的な大気上層温暖化の観測
Nature Geoscience
2008年5月26日
Observed upper atmosphere warming in line with models (N&V)
直接観測と気候モデルシミュレーションの違いを考えて、熱帯上層大気が温暖化しているか、そうならばそれはどの程度の割合かは、過去十数年間にわたって議論されてきた。Nature Geoscience(電子版)に発表される新しい観測データは、温暖化の割合は1970年以降10年あたり0.65℃であると示していて、これはおよそモデルシミュレーションの予測と一致しており、したがって気候モデルの信頼性を増大させることとなっている。
地球大気の最下層である対流圏に対して、人工衛星と直接の温度測定を用いたこれまでの研究は、気候モデルが予測した温暖化の傾向を示すことが出来ず、それは観測手法に含まれる偏差が原因と考えられてきた。このような潜在的な偏差を回避するために、R AllenとS Sherwoodは、温度測定よりも確実である風の測定と、風と温度を結びつける気象学的関係式を用いて温度の傾向を導き出した。彼らの結果は、気候モデルから予想されるように温暖化は熱帯全域で大気上層が最大であることを示している。
関連するNews and Viewsの記事で、P Thorneは、著書らが「モデル予想に長く待たれていた実験からの検証を与えている」と述べている。彼は「この熱帯対流圏温暖化の顛末は、気候変動の監視には天気予報で用いられているものとは基本的に異なった観測的手法が必要であることを明らかにしている」と示唆している。
doi: 10.1038/ngeo208
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