【天文学】基本定数はどの程度変動する?
Nature Communications
2013年10月16日
Astronomy: When is a constant not a constant?
自然界の基本定数は、さまざまな物理学の理論を検証するために用いられているが、そうした定数の変動について新たな限界が明らかになった。この新知見は、一部の基本定数について、地球の高密度環境と星間空間の低密度環境との間で生じる可能性のある変動について、新たな限界を示している。
現在の物理学の標準理論は、いずれも、電子質量や原子の微細構造定数などの基本定数が一定で、時間的にも空間的にも変化しないことを前提としている。しかし、別の理論では、時間、場所又は局所的な物質密度によって基本定数が変動する可能性が示唆されている。そうした変動の有無を検証すれば、これらのモデルが物理学における未解決の問題を説明するうえで役立つのかどうかを解明できるようになると考えられている。今回、Michael Tarbuttたちは、そうした検証を行った。つまり、局所的な物質密度が基本定数に与える影響を調べたのだ。Tarbuttたちは、超低温CH分子の短いパルスビームを生成する方法を開発して、その原子遷移の周波数を非常に高い精度で測定した。そして、この周波数をCH分子の局所的な物質密度が大幅に異なる星間媒質の天体観測で得られた同じ原子遷移の周波数と比較した。その結果、Tarbuttたちは、局所環境を原因とする微細構造定数と電子-陽子質量比の変動に関して、変動幅の新たな限界を定めることができた。
この方法は、自然界の基本定数の変動を必要とする理論に新しい制約条件をもたらしている。天体観測の感度が向上すれば、こうした制約条件も向上し、それが適用できる観測源も拡大する可能性がある。
doi: 10.1038/ncomms3600
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが裏側の月火山活動の年代を特定Nature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications