注目の論文
地球温暖化は止まらない
Nature Climate Change
2013年11月25日
Ongoing warming
二酸化炭素の排出が止まれば、全球地表温度が数世紀の時間スケールで安定化すると予測されている。ところが、今後500年間の地表温度は、最初の1世紀間は低下するが、その後、上昇に転じ、そのまま上昇を続けるという新たな予測が示されている。その詳細を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
今回、Thomas Froelicherたちは、地球システムモデルを用いて、1,800ギガトンの炭素パルスを加えた後の全球的気温の変化をシミュレーションした。1,800ギガトンの炭素パルスは、大気中の二酸化炭素濃度を産業革命以前のレベルの約4倍に引き上げることができる。このシミュレーションでは、この炭素の注入から15~20年後に温暖化がピークに達し、その後の100年間は、気温が低下して、産業革命以前の気温より摂氏1.5度高いレベルになることが判明した。この寒冷化効果は、大気中の二酸化炭素濃度の低下が原因となっており、そのために、地球から宇宙に向かって放射される熱の量が増えるようになる。予想外なのは、このモデルによる予測で、炭素の注入から100~500年後には、摂氏0.37度の温暖化が起こるとされたことで、Froelicherたちは、その原因として海洋による熱の取り込みが弱まることを挙げている。
以上の結果は、地域的な海洋による熱の取り込みと累積炭素排出量に対する地表温度の応答の予測に伴う不確実性を明確に示している。
doi: 10.1038/nclimate2060
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが裏側の月火山活動の年代を特定Nature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications