注目の論文
高緯度域の雪と氷の減少が中緯度域の熱波と結び付いている
Nature Climate Change
2013年12月9日
Melt-driven heatwave
高緯度域での海氷面積と積雪面積の減少を原因とする大気循環の変化が、北米の多くの地域、ヨーロッパ、アジアなどの地域での夏の極端な気象事象と結び付いていることが明らかになった。この新知見を報告する論文が、今週掲載される。
北半球では、ここ30年間、高緯度域での夏の海氷面積と積雪面積の減少が記録的なレベルに達し、近年は、中緯度域で、夏の極端な気象事象(例えば、熱波と干ばつ、あるいは大雨と洪水)が増えている。しかし、これらの要因のつながりは明らかになっていなかった。今回、Qiuhong Tangたちは、夏の積雪面積と海氷面積に関する衛星観測結果と大気データを組み合わせて、大気循環パターンを調べた結果、海氷面積と積雪面積の減少と中緯度域の気象状態との間につながりのあることを明らかにした。雪と氷の減少に関連した明確な大気循環パターンがあり、氷の減少による応答の方が大きいことが分かったのだ。Tangたちは、北緯60度以北の上層大気風が弱まり、ジェット気流が一般的に北方へ移動しており、こうした変化によって気象配置が固定される期間が長くなり、極端な気象事象の発生確率が高まることを指摘している。今回の研究結果からは、北極での雪と氷の減少が進むにつれて、夏の極端気象の頻度と強度が高まり続けることが示唆されている。
このテーマと関連したJames OverlandのNews and Viewsには、「北極の変化に関する解明が進めば、気象状態に関する季節予報とさらに長期的な予報が可能になるだろう」と記されている。
doi: 10.1038/nclimate2065
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